LibreOfficeを使ってLinuxで年賀状作成
LibreOfficeを使ってLinuxで年賀状を書いていて、今年で4年目。毎年、印刷ができなかったり、表示がずれたり何かしらトラブルは起きてしまう。1年に1回の行事なので、毎年1年前の記憶を呼び起こしつつ、年末にトラブルの対処法を模索するのも恒例になってきた(笑)
毎回なんとか試行錯誤してトラブルも解決できて、対処法も分かってきた。ここで、トラブルの対処法も含めて、LibreOfficeを使ってLinuxで年賀状を書く方法を記事にまとめておこうと思う。
Linuxで年賀状を書くための準備
Linuxで年賀状を書く上で、必要なものをまとめておく。- プリンタ:最近はLinuxのドライバ(Gutenprint)を使って、多くのプリンタが使えるのでドライバの心配はあまり無い。
- LibreOffice:LibreOfficeのパッケージをまとめてインストールする。WriterとCalcを使う。
- PDFビューア:ほとんどのLinuxでPDFは見れると思う。ここではGNOMEのデフォルトのドキュメントビューア(Evince)を使う。
Linuxでプリンタを使えるようにする方法は、「Arch Linuxでプリンタ印刷 | 普段使いのArch Linux」にまとめてあるので、プリンタが使える環境がない場合は、このページを参考にしてほしい。
LibreOfficeは、パッケージ管理ソフトから「libreoffice-fresh、libreoffice-fresh-ja」の2つのパッケージをインストールした。
PDFビューアはもともと、インストールされていると思うので、インストールの必要はない。
宛名面の作成
まず、年賀状の宛名面を作成する。宛名面は「差し込み印刷」を使う。「差し込み印刷」では、LibreOffice Calcで作った住所録データを使って、それをLibreOffice Writerから読み込んで、住所録にまとめた郵便番号、住所、氏名を一括で印刷できる。「差し込み印刷」は非常に便利で、年賀状印刷のキーになる機能だが、LibreOffice CalcとLibreOffice Writerを連携させるため、ここでトラブルが起きることが多い。
宛名面の作成には、宛名印刷ようのテンプレートがあるので、テンプレートを使用する。テンプレートは「リリース はがき宛名書き 1.0 - OpenOffice.org ドキュメントプロジェクト - OSDN」のページにある。
このページから、「はがき宛名書き.zip」をダウンロードして、適当なディレクトリに展開する。
zipファイルを展開したら、展開したディレクトリ中を確認。宛名書きテンプレートの「….odt」ファイル名が文字化けしていたら「はがき宛名書き.odt」に名前を変更する。
「Readme.txt」には、「衡山毛筆フォント」をインストールするようにと書かれているが、ここでは「衡山毛筆フォント」は使わない。
宛名面の作成(住所録の作成)
まず、宛名書きテンプレートの「Address.ods」ファイルを開く。「Address.ods」ファイルを開いたら、年賀状を出したい宛先の人の、氏名、郵便番号、住所を入力する。会社名は必要なければ、列ごと削除して良い。
住所録作成上の注意点
- R列の住所A1に県名と市町村名を含めたいので、関数を"=JIS(F2)&JIS(G2)&JIS(H2)"(2行目の場合)に変更。
- フォントによっては、"ー(長音)"だと縦書きで印刷されない。縦書きで印刷されない場合は、番地などの区切りは"−(ハイフン)"を使う。
- フォントの大きさにもよるが、住所の文字数に注意する。住所1(H列)と住所2(I列)で1行ずつ印刷される。住所1や住所2が長すぎて、それぞれが1行以内に収まらないと、印刷時にずれが生じる。目安は18文字以下だが、フォントによってはより少ない文字数にする必要がある。
宛名面の作成(テンプレートファイルの編集)
次に、宛名書きテンプレートの「はがき宛名書き.odt」を開く。「はがき宛名書き.odt」を開いたら、宛名面を適宜編集する。それぞれ、郵便番号、<A1>、<A2>、<会社名>、<氏>、<名>となっている箇所に、先程作成した住所録のデータが「差し込み印刷」される。
「会社名」は必要なければ削除してよい。住所と氏名は「IPAex明朝」に、郵便番号は「IPAexゴシック」にした。住所のフォントの大きさは「16〜18 pt」、氏名のフォントの大きさは「28 pt」がちょうど良さそう。
さらに、送り主の住所を追加する。テキストボックスを挿入して、縦書きに変更する。
住所氏名のフォントは、「IPAex明朝」で大きさ「11 pt」にした。郵便番号もテキストボックスを追加して、記入する。郵便番号は「IPAexゴシック」フォントで、大きさ「12 pt」。以下の画像のように、郵便番号のテキストボックスの位置は、背景の□の枠より下に配置させた方が、実際の年賀状の郵便番号記入位置に近くなった。
宛名面を編集する上での注意点
- フォントは「Notoフォント(源ノ明朝など)」を使うと、印刷時に不具合が起きる場合がある。詳しくは、「LibreOffice Writerで縦書きできない・印刷時にクラッシュする時の対処法 | 普段使いのArch Linux」のページを参考にしてほしい。
宛名面の印刷
宛名面が完成したら、「差し込み印刷」を行う。「ファイル」から「印刷」をクリック。「ドキュメントにアドレスデータベースのフィールドが含まれています。差し込み印刷を実行しますか?」というメッセージが表示されるので、「はい」をクリック。
すると、ウィンドウが開いて、先程作成した「Address.ods」から、住所録データが読み込まれる。読み込みがうまく行くと、以下の画像のようにウィンドウの上部に「Address.ods」住所録からのデータが表示される。
全ての住所を印刷したい場合は、このまま「OK」をクリック。
住所や氏名のレイアウトを確認するために1枚だけ印刷したい場合は、「開始」と「終了」にチェックボックスを入れて、値をそれぞれ1に設定して「OK」
印刷プレビューが表示される。このままだと背景のハガキの画像まで印刷されてしまう。なので、背景の画像を印刷させないために、「LibreOffice Writer」のタブをクリック。
「LibreOffice Writer」の「ページの背景」のチェックボックスを外す。
「ページの背景」のチェックボックスが外れたら、用紙の設定を行う。
全般のタブで、「プロパティ」をクリック。
用紙のタブで、用紙サイズを「Hagaki 100.0x148.0mm」に設定。
デバイスのタブで、「MediaType」を「Ink Jet Hagaki」に設定。インクジェットはがきの設定をしないと、文字が汚く印刷されてしまう。
ここまで設定したら、「OK」をクリックして印刷を実行。何度か試し印刷して、住所と氏名のレイアウトを確認して微調整する。
宛名面を印刷する上での注意点
- 印刷でエラーが出る場合は、「LibreOfficeの印刷とPDFの印刷ができない | 普段使いのArch Linux」のページを参考にしてほしい。lpadminの設定のせいで、印刷がうまくできない場合がある。
宛名面の差し込み印刷がうまく行かない場合の対処法
もし、宛名面の差し込み印刷がうまく行かない場合は、この手順を参考にしてほしい。先程の差し込み印刷を実行した際にエラーが出たりする場合がある。例えば、以下のように「ファイル"はがき宛名書き0.odb"は存在しません。」のようなエラーメッセージが表示されることがある。
このようなエラーが出る時は、LibreOffice WriterとLibreOffice Calcの連携がうまくいっていない。
原因としては、LibreOffice Writer(「はがき宛名書き.odt」ファイル側)に、住所録データベースのファイル(「Address.ods」)のパスがうまく認識されていないことが多い。「はがき宛名書き.odt」を編集してから、ディレクトリの場所を変更してしまうと、以前のパスの情報が残ってしまい、パスの認識がうまくできなくなる。
この場合、「はがき宛名書き.odt」に残ってしまっている、以前の住所録データベースのパスを削除する。
住所録データベースのパスを削除するには、まず「Shiftキー + Ctrlキー + F4キー」を同時に押して、「データソース」のウィンドウを開く。
「データソース」の中に、「Bibliography」と「EvolutionLocal」以外の項目があったら、そのデータソースを削除する。以下のように、「Address0」のデータソースが存在したので、「Address0」を右クリックして、「登録されたデータベース」をクリック。
「登録されているデータベース」が表示されるので、「Address0」を選択した状態で、「削除」をクリック。
「その項目を削除しますか?」と聞かれるので、「はい」をクリック。
以下のように、登録されているデータベースが「Bibliography」と「EvolutionLocal」だけになったら、再度印刷を実行してみる。
文面の作成
LibreOfiice Writerから新規にファイルを作成し、「書式」→「ページ」をクリック。「ページ」のタブで「サイズ名」を「ハガキ」に設定。余白を全て「0.00 cm」に設定。
ページの設定ができたら、年賀状の素材サイトからダウンロードした画像を貼り付ける。
Writerからだと、ふち無しの印刷ができなかったので、ひとまずPDFファイルに書きだす。PDFのマークの「PDFとして直接エクスポート」のボタンをクリックして、WriterからPDFに書き出すことができる。
書き出したPDFファイルは、適当な名前で保存する。
文面の印刷
LibreOffice Writerから書き出した、文面のPDFファイルを「ドキュメントビューア(Evince)」で開く。Ctrl+Pで印刷プロパティのウィンドウを開く。「ページ設定」のタブで、「種類」を「Ink Jet Hagaki」、「用紙サイズ」を「Hagaki (borderless)」に設定。
「ページの取り扱い」のタブで、「ページの拡大縮小」を「なし」に設定。
ここまで設定したら、「OK」で印刷を実行。これで、ふち無しの文面が印刷でき、文面も完成。
[1]Arch Linuxで年賀状作成 | LibreOfficeを使って年賀状作成 | 普段使いのArch Linux
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