2018年5月20日日曜日

UbuntuをUEFIモードでインストールする方法(Ubuntu 18.04 LTS 日本語Remix)

Ubuntu 18.04 LTSの特徴と変更点
Ubuntu 18.04 LTSが2018年4月27日に、日本語Remix版が5月15日にリリースされた。2023年4月までサポートが継続される、LTSバージョンのリリースとなる。

Ubutu 18.04 LTSはGNOMEがデフォルトのデスクトップ環境になっていたり、日本語フォントがGoogle Notoフォントになっていたりして、Ubutnu 16.04 LTSから様々なアップデートがなされている。Ubuntu 18.04 LTSの、主な特徴と変更点は以下の通り。

デスクトップ環境:GNOME 3.28
Ubuntu 16.04 LTSで使われていたUnityは廃止され、GNOMEがデフォルトのデスクトップ環境となった。デスクトップやウィンドウは、GNOMEのオリジナルなデザインに近くなっているかと思ったが、デザインはこれまでのUbuntuのバージョンに寄せたものとなっていた。しかし、設定など中身の部分はちゃんとGNOMEそのもの。
Linuxカーネル:Linux 4.15
Linuxカーネルのバージョンが4.15にアップデートされている。Meltdown/Spectreのセキュリティ問題のため、Linux 4.15の開発はわずか3ヶ月で開発終了となってしまった。カーネルのメンテナーは4.16へのアップデートを呼びかけている。Ubuntuの場合、開発が終了したカーネルであっても、メインラインカーネルのセキュリティパッチ等は取り込まれるようになっているので、4.15以降の変更も取り込まれるはずなので、心配はないと思う。
ブートのスピードが高速に
systemdの利点を活かして、ブートスピードの高速化が図られている。
日本語フォント:Google Notoフォント
Ubuntu 16.04 LTSでは日本語フォントとして、Takaoフォントが使われていた。Takaoフォントも十分見やすいフォントであったが、Ubuntu 18.04 LTSではGoogle Notoフォントがデフォルトのフォントに採用されている。Google Notoフォントもきれいなフォントだが、LibreOffice Writerで縦書きが印刷できない問題(LibreOffice Writerで縦書きできない・印刷時にクラッシュする時の対処法 | 普段使いのArch Linux)で、困ったことがある。Ubuntuでも同じ問題が起きないと良いが…

その他の気になる点としては、Waylandがデフォルトのディスプレイサーバーに採用されるのが、先送りされた点。Waylandがデフォルトのディスプレイサーバーとなるのは、Ubuntu 20.04 LTSの見通し。

Waylandをディスプレイサーバーとして使ってみたければ、ログイン画面で設定できる(GNOMEでWaylandを使う | 普段使いのArch Linux)。ただし、Wayland上では正しく動作しないアプリケーションは少なからずあるので、その点は注意が必要。


Ubuntu 16.04 LTSと18.04 LTSのデスクトップの違い
Ubuntu 16.04 LTSと18.04 LTSのデスクトップを並べて比較してみた。

Ubuntu 16.04 LTS
Ubuntu 18.04 LTS

大きな違いは見られないかもしれないが、Ubuntu 18.04 LTSのデスクトップ環境はGNOMEになっているため、画面左上に「アクティビティ」が表示されている。

「アクティビティ」をクリックすることで、インストールしているアプリケーションの一覧や仮想デスクトップを表示できるようになっている。

Ubuntuのインストール方法
今回は、UbuntuをUEFIモードでインストールするが、以下のような内容でインストールする。

  • OS: Ubuntu 18.04 LTS(Ubuntu Desktop 日本語 Remix)
  • アーキテクチャ: 64ビット
  • イメージファイル: ubuntu-ja-18.04-desktop-amd64.iso
  • インストールメディア: DVD
  • インストールモード: UEFIモード
  • パーティショニング: GPTパーティショニング
  • ストレージフォーマット: ext4(ルートディレクトリ)
  • ネットワーク接続: DHCP(LANケーブル接続)
  • ブートローダ: GRUB

UEFIモードでインストールするメリットは?
UEFIブートすると、以下のようなメリットがある(「Windows 8.1クロスロード:第9回 UEFIサポートとセキュアブート (1/2) - @IT」より)。
セキュアブート
ブートコードなどが改ざんされていないことが保証される機能が利用できる。ブートコードを変更する操作(ウイルスなど)は禁止されるため、システムの安全性が増す。UEFI 2.3.1 Errata C 以降が必要。
ただし、セキュアブートは対応するOSが限られていたり、OSの起動に障害を発生させやすいので無効にする。Ubuntuでも対応したバージョンがリリースされているが、どうしてもWindowsをセキュアブートしたい場合を除いて使わないほうが良い。

2.2Tbytes以上のディスクからのブート
2.2Tbytes以上のディスクが、OSのインストール先として利用可能になる。レガシーBIOSシステムでは、2.2Tbytes以上のディスクはデータ用ディスクとしてのみ利用可能であり、OSのインストール先としては利用できなかった(2.2Tbytes以上の領域にはアクセスできなかった)。

高速なシステム起動/シャットダウン
レガシーデバイスサポート(レガシーデバイスのスキャン)などを省略し、高速なシステムの起動が可能となる。

UEFIモードでインストールするための条件
UEFIモードでUbuntuをインストールするためには、以下のような条件が必要。記事中でそれぞれの条件が満たされているか確認していくので、これ以降の内容を参考にしてほしい。

  • マザーボード: UEFI(UEFI BIOS)の搭載
  • UEFI BIOSの設定: UEFIブートを有効に設定
  • Ubuntuのバージョン: Ubuntu 12.04、Ubuntu 14.04、及び14.04以降のバージョン
  • インストール先のHDD(SSD): GPT(GUID Partition Table)パーティショニングが必要

インストーラーDVDの作製
まず、インストーラーDVDを作製する。インストーラーDVDを作製するための、イメージファイル(ubuntu-ja-18.04-desktop-amd64.iso)を「Ubuntu Desktop 日本語 Remixのダウンロード | Ubuntu Japanese Team」のページからダウンロードする。


イメージファイルをダウンロードしたら、イメージファイルをDVDに書き込む。Windowsであればイメージファイルを右クリックして「ディスクイメージの書き込み」をクリックして、その後のウィンドウで書き込み先のディスクを選択して、「書き込み」を実行する。


UEFI BIOSの設定
Ubuntuのインストール前に、UEFI BIOSの設定を行う。それぞれのマザーボードによって設定の仕方が異なるが、使用しているマザーボードの説明書等を読んで、以下の説明に相当する設定方法を調べればよい。今回は、使用するマザーボード ASUS P8 Z77-M PROを例にして、以下説明する。

まず、UEFI BIOSの設定を変えるために、UEFI BIOSの設定画面に入る。ただし、UEFI BIOSの設定が終わったら、DVDドライブからUbuntuのインストーラーDVDを起動するので、UEFI BIOSに入る前にUbuntuのインストールメディアをDVDドライブにセットしておく。

手順としては、「PC電源ON」→「すぐにDVDドライブを開けてインストールメディアを入れる」→ASUSのロゴ画面で「Delキー」を押す、となる。

UEFI BIOSの設定画面が起動すると、以下のような画面が表示される。


UEFI BIOSが起動したら、画面左下の「Advanced Mode」をクリックして、詳細な設定ができるモードに移動できる。以下の設定を、続けて行う。

SATAデバイスをAHCIモードに設定
SATAデバイスのモードにはレガシーなIDEモードと、新しいAHCIモードがある。UEFIブートするためには、SATAはAHCIモードでなければならない。RAIDを組んでいるんであれば、RAIDでもよい。

基本的にはデフォルトでACHIになっているはず。設定は、「Advancedのタブ」→「SATA Configuration」をクリックして、「SATA Configuration」メニューに移る。


「SATA Mode Selection」の項目を「AHCI」とする。デフォルトで、「AHCI」となっていた。


Secure Bootモードの解除
セキュアブートでは、ウィルスなどによるブートコードを変更する操作が禁止されるため、システムはより安全になる。しかし、セキュアブートに対応していないOSが、起動できなくなるという支障も発生させる。ここでは、セキュアブートは無効とする。

セキュアブートを無効にするために、「Bootのタブ」→「Secure Boot」をクリックしてSecure Boot menuに入る。


「OS Type」の項目を、「Other OS」に変更する。「Other OS」という表記だが、Secure Boot OFFの意味。デフォルトでは、Windows UEFI modeになってSecure BootがONになっていた。


※セキュアブートを有効にしないと、OSがインストールできない場合、または、セキュアブートを有効にしてOSを起動したい場合は、「Windows UEFI mode」を選択する。もし、セキュアブートを有効にした場合は、以下のCSMモードは無効にしなければならない。


CSMモードを有効にする
Secure Bootを無効にした時は、 Compatibility Support Module (CSM) を有効にしておいた方がよい。CSMを有効にしておくことで、UEFIドライバーを持たないデバイスとの互換性を向上させることができる。

「Bootのタブ」を選び、「CSM」をクリックしてCSMの設定ページに移る。


「Launch CSM」の項目を「Enable」にする。デフォルトでEnableになっていた。


「Boot Device Control」の項目がある場合は、「UEFI only」にするとブートドライブからUEFIモードのブートローダーのみ起動されるようになる。「UEFI only」にして、もし起動に不具合があったら、「UEFI and Legacy OpROM」にする。


その他、「Boot from Network Devices」、「Boot from Storage Devices」、「Boot from PCIe/PCI Expansion Devices」は「UEFI driver first」にする。もし、ブートや起動中のOSに不具合があったら、「Legacy OpROM first」を選択する。


※セキュアブートを有効にしている場合は、CSMモードを無効にする必要がある。CSMモードを無効にするには、「Launch CSM」を「Disable」に設定する。


設定の保存とインストールメディアの起動
UEFIモードで起動するには、BootデバイスをUEFIデバイスに設定しておかなければならない。設定は、「Bootのタブ」から「Boot Option Properties」の「Boot Option #1」を選択。


UEFIの表示がある「インストールメディアを入れた光学ドライブ名」を選択。今回は、PIONEERの光学ドライブを使用しているので、「UEFI: P6: PIONEER BD-RW BDR-207M」を選択。#2以降の順番は重要ではない。インストーラーがUEFIモードで起動していないと、UbuntuはBIOSモードでインストールされてしまう。したがって、Boot Menuで必ず「UEFI: ~」と表示されたインストーラーが入ったドライブを選択する!


これで設定は終わったので、画面右上の「Exit」を選択し、「Save Changes & Reset」を選択する。すると、UEFI BIOSから抜け出し、光学ドライブからUEFIモードで、Ubuntuのインストーラーが起動する。


UbuntuのインストーラーがUEFIモードで起動しなかったら
もし、Ubuntuのインストーラーが、光学ドライブからUEFIモードで起動しなかった場合は、Boot Menuから直接インストールメディアを入れた、UEFI表示付きの光学ドライブを選択する。


Ubuntuのインストール
次に、Ubuntuのインストールに移る。Ubuntu 16.04 LTSからインストール手順は変わっていない。

UEFI BIOSの設定が終わり、UEFI BIOSを抜け出したら、以下のようにUbuntuのインストーラーが起動する。

↑↓キーで「Install Ubuntu」を選択。


「Install Ubuntu」を選択して、「Enterキー」。


Ubuntuのインストーラーが起動する。


「日本語」が選択されている状態で、「続ける」をクリック。


キーボードレイアウトで「日本語」が選ばれていることを確認して、「続ける」をクリック。特殊なキーボードを使っている場合は、使っているキーボードを選択する。


「通常のインストール」を選択する。ただし、インストールしたいソフトウェアの数を減らして、最小限に抑えたい場合は「最小インストール」を選択する。この「最小インストール」の機能は、Ubuntu 18.04 LTSからの新機能。

また、「Ubuntuのインストール中にアップデートをダウンロードする」と「グラフィックスとWi-Fiハードウェアと追加のメディアフォーマットのサードパーティ製ソフトウェアをインストールする」をチェックして、「続ける」をクリック。もし必要なければ、チェックを外す。


インストールの種類で、「ディスクを削除してUbuntuをインストール」をチェックした状態で、「インストール」をクリック。この方法では、インストール先のディスクのデータを完全に削除して、おすすめ設定でUbuntuをクリーンインストールすることになる。初めてUbuntuをインストールする場合は、このままインストールするのがよいと思う。

自分でパーティショニングなどを行いたい場合は、「それ以外」を選択する。


「ディスクに書き込みますか?」のメッセージウィンドウが開くので、「続ける」をクリック。


時刻合わせのため、居住地(日本の場合は「Tokyo」)を選択して「続ける」をクリック。


ユーザー名とホスト名(ネットワーク上でのPCの識別名)、パスワードを入力する。「あなたの名前」がユーザー名にあたり、「コンピューターの名前」がホスト名にあたる。入力したら、「続ける」をクリック。


インストールが開始される。


「インストールが完了しました」というメッセージウィンドウが開いたら、「今すぐ再起動する」をクリック。


「Please remove installation medium, then reboot.」とメッセージが表示されるので、UbuntuのインストールDVDを取り出す。その後、Ubuntuが再起動される。


GRUBの起動画面が表示されたら、「Ubuntu」を選択してクリック。


インストール時に設定したユーザーでログイン画面が起動される。ユーザー名をクリックで選択。


インストール時に設定したパスワードを入力して、「Enterキー」を押す。


ログインすると、デスクトップが立ち上がる。


UEFIモードで起動しているか確認する。端末を起動して、「ls -al /sys/firmware/efi/」と入力して、以下のような表示がされればUEFIモードで起動していることが分かる。このコマンドを入力しても何も表示がされない場合は、BIOSモードで起動してしまっている。

インストール直後の再起動後はUEFIブートしていないこともある。「ls -al /sys/firmware/efi/」と入力して何も表示されない場合は、一度PCの電源を切って再起動してから確認してみる。




参考:
[1]Homepage | Ubuntu Japanese Team
[2]Desktop newsletter, 19th Jan 2018 - Desktop - Ubuntu Community Hub
[3]Ubuntu 18.04 Release: New Features and Upgrade Procedure

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