GNOME 3.22: Karlsruheの変更点
9月21日にGNOME 3.22がリリースされた。Arch Linuxでもリポジトリに登録されて、インストールできるようになったので、早速インストールしてみた。Waylandのデフォルト化、GNOME SoftwareへのFlatpak(アプリケーション仮想化フレームワーク、サンドボックス)の統合、Nautilusのファイルリネーム機能追加、dconf editorのデザイン変更等があった。Waylandのデフォルト化
GNOME 3.22になって、ディスプレイサーバーはWaylandがデフォルトとなった。これまで使われてきたXサーバーにも切り替えることができるが、デフォルトではWaylandが使われる。それぞれの、ディスプレイサーバーの切り替えは、ログイン画面からできる。Arch LinuxのWikiのGNOMのページには、以下のように書かれている。
- GNOME は標準のレイアウトです。デフォルトで Wayland を使います。旧式の X アプリケーションは Xwayland 経由で実行されます。
- GNOME Classic はスタンダードの GNOME 3 の技術を使う GNOME2 のユーザーインターフェイスに似た伝統的なデスクトップレイアウトです。あらかじめ有効にされたエクステンションとパラメータを使います。つまり全く中身が異なるモードではなくカスタマイズ済みの GNOME Shell で出来たモードです。
- GNOME on Xorg は Xorg で GNOME Shell を実行します。
ただし、Waylandはまだバグが多いので、Xorgを使用したほうが安定している。Waylandを使用してみたが、VLCがクラッシュしたりした。WikiのWaylandのページには、以下のように書かれている。
バージョン 3.14 から、GNOME は Wayland を使ってデスクトップを動作させることができるようになりました。Gnome コンポジタは X を使用しなくても動かすことができ、Wayland のシステムコンポジタとして動作します。本番環境で使えるほど安定しているとされていますが、まだサポートされていない機能もいくつか存在します (Gnome のドキュメントを参照)。Gnome デスクトップでは、X を使用するアプリケーションは XWayland で動作します。
ディスプレイサーバーのXorgへの切り替え方は、ログイン画面で以下のように、「GNOME on Xorg」を選択する。
SoftwareへのFlatpakの統合
GNOME 3.22では、FlatpakがGNOMEのSoftwareに統合された。Flatpakはアプリケーション仮想化フレームワーク(サンドボックス)の一種で、Fedora 24でもサポートされるようになっている。Flatpak内でアプリケーションを動作させることにより、システムへ影響を与えることなく、セキュアにアプリケーションを動作させることができる。SoftwareへFlatpakが統合されたことにより、SoftwareのGUI上からFlatpakパッケージのインストール・管理が可能になった。Arch Linuxでは、GNOMEパッケージにSoftwareパッケージは含まれていないので、Arch Linux上でこの機能を使いたい場合は、GNOMEのデフォルトパッケージに加えて、gnome-softwareを別途インストールする必要がある。
$ pacman -Ss gnome-software community/gnome-software 3.22.1-1 GNOME Software Tools
Nautilus 3.22
NautilusはNautilus 3.6になって多くの機能が削除されて、シンプルなファイルブラウザになったが、最近はGNOMEのアップデートに伴って、新たな機能を追加する傾向。Nautilus 3.22では、ファイルの一括リネーム機能、圧縮ファイルをダブルクリックで展開する機能、サムネイル表示/詳細表示の切り替えボタンの追加等の変更が行われた。また、
Separate desktop from Nautilus. If the desktop crashes, Nautilus won't. Allows us to rework the Nautilus views for a modern and animated visualization.
とのこと。デスクトップがクラッシュするより、Nautilusがクラッシュしてデスクトップが使えなくなる場面のほうが多い気がする。Nautilusがクラッシュしても、端末が使えるようになっていてくれたらうれしい。
ファイルの一括リネーム機能
Nautilus 3.22では、複数のファイルを一括でリネームできる機能が追加された。ファイル名に連番をつけたり(ファイル名の昇順、降順、更新日時の古い順、新しい順に従って番号をつける順番は変えることができる)、文字列を追加したり、文字列を置換したりできるようになった。連番の付け方は、複数のファイルを選択して右クリック。
「+Add」をクリック。「1, 2, 3, 4」「01, 02, 03, 04」等の連番の種類を選択。
さらに、連番をつける順番は「Automatic Numbering Order」の種類から選択できる。「Original Name (Ascending)」をクリック。
ファイル名に応じた2種類の並び順と、ファイルの更新日時に応じた2種類の並び順を選択できる。
文字列の置換の場合は、Nautilus上でファイルを選択して右クリックして「Rename」を選択した後、「Find and replace text」を選択。置換したい文字列を「Existing Text」欄に入力、変更後の文字列を「Replace With」に入力する。
圧縮・展開機能のサポート
Nautilus上でファイルの圧縮・展開ができるようになった。使い方は簡単。Nautilus上でディレクトリを右クリック。 「Compress」をクリック。ウィンドウが開くので、作成する圧縮ファイルのファイル名と圧縮形式を選択して「作成」をクリック。圧縮形式は、zip, tar.xz, 7zが選択可能。
Nautilus上のカレントディレクトリに圧縮ファイルが作成される。
圧縮ファイルの展開は、圧縮ファイルをダブルクリックすれば、カレントディレクトリに展開される。
dconf-editor-3.22
dconf-editorは以下のような見た目になった。サイドバーにツリーの表示がなくなった。シンプルになったけど使いにくくなった?参考:
[1]GNOME 3.22 Released: the Future is Now – GNOME
[2]GNOME 3.22 Release Notes
[3]ThreePointTwentyone/ReleaseNotes - GNOME Wiki!
[4]2016年9月23日 GNOME 3.22がリリース,アプリケーション仮想化フレームワーク「Flatpack」を採用:Linux Daily Topics|gihyo.jp … 技術評論社
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