インストール関連記事
インストール関連記事は「Arch Linuxインストール」のページにまとめてあります。それぞれ好みの設定の記事を見つけて、参照してください。GUIをインストールする前の準備
Arch Linux本体のインストールができたら、GUI環境をインストールする。OSのインストールをまだしていない方は、「Arch Linuxインストール」のページの「OSインストール編」を参照してください。ここでは、GUI環境としてGNOMEをインストールする方法を解説する。GNOMEは、多くのユーティリティソフトを含み設定ツールも完成されている。初めてインストールする場合は、まずはGNOMEを使ってみるといいと思う。
今回のインストールの構成は、以下の通り。
- デスクトップ環境: GNOME
- シェル: bash
- 時刻の同期: timesyncd
- AURヘルパー: packer
- 日本語入力: Fcitx/Mozc
- 日本語フォント: IPAexフォント
ユーザー設定など
OSインストールが終わったら、ブートしrootでログインする。ホストネーム login: root Password:
rootでログインできたら、root以外の一般ユーザーを作成しておく。「ユーザー名」は適宜変更する。
# useradd -m -g users -G wheel -s /bin/bash ユーザー名
作成したユーザーのパスワードを設定する。
# passwd ユーザー名
作成したユーザーからsudoを使って管理者権限でコマンドを実行できるようにする。visudoをして、%wheel ALL=(ALL) ALLのコメントアウトを解除する。
# visudo ... ## Uncomment to allow members of group wheel to execute any command %wheel ALL=(ALL) ALL ←先頭の#を削除する。 ...
エディタのインストール
エディタとして、vimをインストールする。他のエディタをインストールして使っても良い。# pacman -S vim
bashのタブ補完を強化
bashのタブ補完を強化するために、bash-completionをインストールする。# pacman -S bash-completion
bash-completionをインストールすると、/usr/share/bash-completion/completions/以下にあるパッケージについてのタブ補完が有効になる。例えば、sudoあとのコマンド、pacmanの未インストールパッケージ名、systemctl (systemd)のサービスなど。
時計合わせの設定
時刻合わせの設定をする。ntpではなく、systemdのtimesyncdユニットを使う。# timedatectl set-ntp true
timesyncd.confの「NTP」と「FallbackNTP」の行を、以下のように編集する。
# vim /etc/systemd/timesyncd.conf ... [Time] NTP=ntp1.jst.mfeed.ad.jp ntp2.jst.mfeed.ad.jp ntp3.jst.mfeed.ad.jp FallbackNTP=0.arch.pool.ntp.org 1.arch.pool.ntp.org 2.arch.pool.ntp.org 3.arch.pool.ntp.org
いちおう、timesyncdが動いているか確認しておく。
$ systemctl -l status systemd-timesyncd ● systemd-timesyncd.service - Network Time Synchronization Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/systemd-timesyncd.service; enabled; vendor preset: enabled) Active: active (running) since Wed 2015-02-11 14:05:35 JST; 1min 20s ago Docs: man:systemd-timesyncd.service(8) Main PID: 1512 (systemd-timesyn) Status: "Using Time Server 59.106.180.168:123 (0.arch.pool.ntp.org)." CGroup: /system.slice/systemd-timesyncd.service └─1512 /usr/lib/systemd/systemd-timesyncd Feb 11 14:05:35 Alpha systemd-timesyncd[1512]: Using NTP server 59.106.180.168:123 (0.arch.pool.ntp.org). Feb 11 14:05:43 Alpha systemd-timesyncd[1512]: interval/delta/delay/jitter/drift 32s/+7.960s/0.028s/0.000s/+0ppm Feb 11 14:06:15 Alpha systemd-timesyncd[1512]: interval/delta/delay/jitter/drift 64s/-0.000s/0.029s/0.000s/+0ppm
時刻合わせの詳しい説明は、Arch Linuxで時刻同期 | NTP, systemd-timesyncdに書いてある。
GUI環境のインストール
X環境のインストール
X window systemのサーバー関係のパッケージなどをまとめてインストールする。# pacman -S xorg-server xorg-apps xorg-xinit xorg-xclock xterm xorg-twm
ビデオドライバをインストールする前に、以下のコマンドでビデオカードを確認する。現在の環境はVGAをつけずに、Intel CPUのVGA機能を使っている。その場合、以下のようになる。
# lspci | grep VGA 00:02.0 VGA compatible controller: Intel Corporation Xeon E3-1200 v2/3rd Gen Core processor Graphics Controller (rev 09)
Intel CPUのVGA機能を使っているので、xf86-video-intelビデオドライバのインストールする。インストールするパッケージを聞かれたら、基本的にデフォルトのものを選択すればよい。
# pacman -S xf86-video-intel
startxでXが起動するか確認する。以下のように起動できたら、Xのインストールまでは成功。
$ startx
twmが起動したら、xterm上で作業する。
GNOME環境のインストール
GNOMEパッケージをインストールする。インストールするパッケージを問われるが、すべてのデフォルトパッケージをインストールする。# pacman -S gnome gnome-extra
ディスプレイマネージャはデフォルトのGDMを使う。自動でグラフィカルログインするように、systemdのサービスを有効にしておく。
# systemctl enable gdm.service
ここまで設定して、再起動すればグラフィカルログインされる。ここまでで、デスクトップ環境が整う。再起動してグラフィカルログインするか確認する。
# reboot
GDMから一般ユーザーでログインして、このようにデスクトップが表示されれば成功。
ファイルブラウザとか端末を開くとこんな感じ。
Xfce4, LXDEと異なり、ダイナミックにウィンドウの表示やワークスペースの切り替えができる。
以降、コマンドの操作はgnome-terminal(GNOMEの「端末」)から入力、実行する。
キーボードレイアウトがusの状態でログインされてしまうが、以下でFcitxをインストールするとjpのキーボードレイアウトに戻る。日本語キーボードを使っていると、しばらく使いづらい状態となるが、Fcitxがインストールできるまで辛抱する。
GNOMEの日本語化
ロケールの変更
ロケール環境変数をja_JP.UTF8に変更する。これで、システム全体の表示に日本語が使われるようになる。# vim /etc/locale.conf
ファイルにもともと書かれていたロケール環境変数をすべて削除して、以下を記入する。
LANG=ja_JP.UTF8 LC_NUMERIC=ja_JP.UTF8 LC_TIME=ja_JP.UTF8 LC_MONETARY=ja_JP.UTF8 LC_PAPER=ja_JP.UTF8 LC_MEASUREMENT=ja_JP.UTF8
ここで、一旦再起動することで、システム全体で日本語が使われるようになる。GNOMEの場合、以下のようにホームディレクトリのサブディレクトリの名前を変更するか聞かれる。個人的には英語のままの方が使いやすいので、英語のままにする。
キーボードレイアウトの設定
アクティビティから「設定」を開く。地域と言語を開き、以下の画像のように言語と入力ソースを設定する。
Firefoxのインストール
後々必要となるFirefoxを、インストールしておく。# pacman -S firefox firefox-i18n-ja
日本語入力ソフト Fcitx Mozcのインストール
IBusとの統合を無効化
Arch WikiのFcitxのページによると、GNOME はありとあらゆるインプットメソッドを破壊しようとするため、Fcitx を使うために、gnome-control-center から全ての入力ソースとインプットメソッドのホットキーを削除してから次のコマンドを実行して iBus との統合を無効にする必要があります:とのことなので、入力ソースを削除できたら、以下のコマンドによってIBusとの統合を無効にする。
$ gsettings set org.gnome.settings-daemon.plugins.keyboard active false
Fcitxのインストール
Fcitx関連のパッケージをインストールする。GNOMEならfcitx-imはfcitx-gtk3だけで良い気がするが、一応すべてインストールしておく。# pacman -S fcitx fcitx-mozc fcitx-configtool fcitx-im :: There are 5 members in group fcitx-im: :: Repository community 1) fcitx 2) fcitx-gtk2 3) fcitx-gtk3 4) fcitx-qt4 5) fcitx-qt5 Enter a selection (default=all): ...
これまで、インプットメソッドの設定と言ったら.xprofileや.profile等に書いてきたが、Wayland上ではこれらのファイルは読み込まないため、/etc/environmentに設定を書く必要がある。
Wayland上でFcitxを起動するための設定は、以下の通り。export〜の3行を、/etc/environmentファイルに追記する。
# vim /etc/environment ... ↓以下の3行を、ファイル中に追記する。 export GTK_IM_MODULE=fcitx export QT_IM_MODULE=fcitx export XMODIFIERS=@im=fcitx
再起動すると、Fcitxが有効になる。
Fcitxの設定
続いて、Fcitxの設定をする。アクティビティから「Fcitx 設定」を起動する。インストール直後、入力メソッドのタブは以下のようになっており、キーボードレイアウトがUSになってしまう。まず、「キーボード - 英語 (US)」を「-」で削除する。さらに、「+」をクリックすると以下のように、キーボードレイアウトを選ぶ画面が出てくるので、「キーボード - 日本語」を選択「OK」をクリックして、日本語のキーボードレイアウトを追加する。
さらに、「^」で「キーボード - 日本語」の項目を一番上に持ってくる。
次に、「Fcitx 設定」の外観のタブから「状態パネルを隠すモード」の項目を「表示」に変更する。こうすることで所謂、「言語バー」が常に表示されるようになる。
ここまでの設定で、FirefoxなどではFcitxが機能するものの、GNOME TerminalなどのGNOME系のアプリケーションでは、Fcitxが機能しなかった。以下のように、dconfの設定を変更することで、GNOME系のアプリケーションでもFcitxが機能するようになる。
$ gsettings set org.gnome.settings-daemon.plugins.xsettings overrides "{'Gtk/IMModule':<'fcitx'>}"
ここまでで、基本的な設定は終わり。
Fcitxのカスタマイズ
さらに、Fcitxをカスタマイズする。まず、スキンをdarkに変更する。画面左下のLegacy Trayのアイコンを右クリックして、「スキン」から「dark」を選択する。darkのスキンを選ぶことで、言語バーや変換候補の表示ウィンドウのバックグラウンドが黒色に変わる。
さらに、トップバーにFcitxを統合したい場合は、GNOME Shellの拡張機能のTopIconsをインストールする。TopIcons - GNOME Shell Extensionsからインストールできる。ページ左上のOFFボタンをクリックしてONボタンに変えると、自動でインストール、適用される。それなりに、メンテナンスされていてちゃんと動く拡張機能らしい。GNOMEのバージョンアップで、動かなくなる時が来るんじゃないかと心配ではあるが。
TopIconsがインストールされると、トップバーのトレイににFcitxのアイコンが表示されるようになる。日本語入力モードのときは、Mozcのアイコンが表示される。
入力モードを、日本語と直接入力間で切り替えると、Mozcのアイコンがついたり消えたりするので、トレイから現在の入力モードを確認することができる。したがって、「Fcitx 設定」から、状態パネルを隠すモードを「トレイアイコンが有効なときに隠す」に設定し、言語バーの表示を消しておく。
日本語表示の設定
デフォルトでは、日本語がきれいに表示されないので、以下の設定を行いきれいに日本語表示できるようにする。packerのインストール
日本語フォントで使用するIPAexフォントは、AURに登録されているため、AURパッケージマネージャーが必要となる。AURパッケージのマネージャとして、packerをインストールしておく。(yaourtを使いたい人は、yaourtでもよい。)まず、/etc/pacman.confに以下の3行を追加する。
# vim /etc/pacman.conf ... [archlinuxfr] SigLevel = Never Server = http://repo.archlinux.fr/$arch
追加したら、以下のコマンドを実行して、pacmanのデータベースが更新する。
# pacman -Syy
データベースの更新ができたら、packerをインストールする。多少手間だが、以下の手順でインストールできる。まず、packerのビルドに必要なパッケージをインストールする。
# pacman -S wget git expac jshon
packerのパッケージをビルドするディレクトリを作成し移動する。
$ mkdir ~/packer $ cd ~/packer
ソースをAURからダウンロードして、ファイル名を変更する。
# wget https://aur.archlinux.org/cgit/aur.git/plain/PKGBUILD?h=packer $ mv PKGBUILD\?h\=packer PKGBUILD
ソースをビルドする。
$ makepkg
pacmanからインストールする。
# pacman -U packer-20150808-1-any.pkg.tar.xz
インストールに使ったファイルは不要なので、削除する。
$ cd ../ # rm -dR packer
日本語フォントのインストール
デフォルトのフォントだと、文字が綺麗に表示されないのでIPAexフォントをインストールする。Google Notoフォントなども無料で公開されている。詳しくは、「Google Notoフォント(源ノ明朝、源ノ角ゴシック)をインストールして使ってみる | 普段使いのArch Linux」を参照。$ packer -S otf-ipaexfont
日本語表示の設定
ビットマップとヒンティングの無効化設定することで、きれいに日本語表示されるようになる。まず、/etc/fonts/conf.avail/71-no-embedded-bitmaps.confに以下の設定を記入する。# vim /etc/fonts/conf.avail/71-no-embedded-bitmaps.conf <?xml version="1.0"?> <!DOCTYPE fontconfig SYSTEM "fonts.dtd"> <fontconfig> <match target="font"> <edit mode="assign" name="embeddedbitmap"> <bool>false</bool> </edit> <edit mode="assign" name="hintstyle"> <const>hintnone</const> </edit> </match> </fontconfig>
設定を、システム全体に有効にするために、/etc/fonts/conf.d/71-no-embedded-bitmaps.confにシンボリックリンクを貼る。
# ln -s /etc/fonts/conf.avail/71-no-embedded-bitmaps.conf /etc/fonts/conf.d/71-no-embedded-bitmaps.conf
ビットマップとヒンティングの無効化する前の日本語表示はきたない。
設定が有効になると、日本語が綺麗に表示されるようになる。
bashの設定
.bashrcの設定
自分の使いやすいように、.bashrcを設定。現在の設定はこんな感じ。最後の「export LC_MESSAGES="en_US.UTF-8"」の行でメッセージを英語で表示するようにしている。日本語が良ければ、この行は削除する。$ vim ~/.bashrc # # ~/.bashrc # # If not running interactively, don't do anything [[ $- != *i* ]] && return # don't put duplicate lines in the history. See bash(1) for more options # ... or force ignoredups and ignorespace HISTCONTROL=ignoredups:ignorespace # append to the history file, don't overwrite it shopt -s histappend # for setting history length see HISTSIZE and HISTFILESIZE in bash(1) HISTSIZE=5000 HISTFILESIZE=10000 # check the window size after each command and, if necessary, # update the values of LINES and COLUMNS. shopt -s checkwinsize # make less more friendly for non-text input files, see lesspipe(1) [ -x /usr/bin/lesspipe ] && eval "$(SHELL=/bin/sh lesspipe)" # enable color support of ls and also add handy aliases if [ -x /usr/bin/dircolors ]; then test -r ~/.dircolors && eval "$(dircolors -b ~/.dircolors)" || eval "$(dircolors -b)" alias ls='ls --color=auto' #alias dir='dir --color=auto' #alias vdir='vdir --color=auto' alias grep='grep --color=auto' alias fgrep='fgrep --color=auto' alias egrep='egrep --color=auto' fi # some more ls aliases alias ll='ls -alF' alias la='ls -A' alias l='ls -CF' # プロンプトのカスタマイズ PS1='\[\e[1;36m\][\u@ \h \W]\$ \[\e[0m\]' # 環境変数の定義 export EDITOR="vim" export VIDEO_FORMAT="NTSC" export LC_MESSAGES="en_US.UTF-8"
.bashrcを設定したら、設定を読み込む。
$ source ~/.bashrc
オーディオの設定
GNOME Setting→サウンドを開く。デフォルトで「出力の音量」がオフになっているので、オンにする。GNOMEのデフォルトの音楽プレイヤーのGNOME MusicはTotemを一度起動しておかないと、起動できない。Totemを一回も起動したことのないGNOME環境でgnome-musicを起動するとSegfaultで異常終了する。
$ gnome-music /usr/lib/python3.4/site-packages/gnomemusic/grilo.py:94: Warning: The property SoupSession:ssl-ca-file is deprecated and shouldn't be used anymore. It will be removed in a future version. self.registry.load_all_plugins() Segmentation fault (core dumped)
ひとまず、Totemを起動する。Totemを終了してから、GNOME Musicを起動すると正常に立ち上がる。
$ totem $ gnome-music
GNOME Files (Nautilus) の表示設定
ファイルブラウザの表示を設定する。リスト表示でアイコンを小さく表示する。$ gsettings set org.gnome.nautilus.preferences default-folder-viewer 'list-view' $ gsettings set org.gnome.nautilus.list-view default-zoom-level 'small'
プリンタの設定
「Arch Linuxでプリンタ印刷 」の記事にしたがって、プリンタの設定をする。参考:
[1]Beginners' Guide (日本語)
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すみません、GNOMEのインストールをX上で行う理由は何ですか?
返信削除返信が遅くなり、申し訳ありません。
削除GNOMEは、X上でインストールしなければならないわけではありません。Xを起動させないまま、GNOMEのインストールまで行っても問題ありません。
記事上でXを起動させているのは、Xが正しく起動するか確認するために行っています。グラフィックドライバやXの設定が正しくないと、Xが起動しないことがしばしばあるため確認を行っております。(最近は、このようなトラブルはあまりないと思いますが。)GUI環境のインストール時のトラブルに備えて、Xが正しく起動できるか確認すれば、問題を切り分けておくことができます。
最近はXのインストールで問題が起きることは少なく、多くを記載しておりませんが、Xをインストールだけでも、本来は以下の2ページ分の内容を確認する必要があります。
https://wiki.archlinuxjp.org/index.php/Xorg
https://wiki.archlinuxjp.org/index.php/Xinitrc
GUI環境のインストールのX環境のインストールの最初のコマンド、
返信削除# pacman -S xorg-server xorg-server-utils xorg-xinit xorg-xclock xterm xorg-twm
ですが、xorg-server-utilsがxorg-appsに変更になったのでエラーになりました。
# pacman -S xorg-server xorg-apps xorg-xinit xorg-xclock xterm xorg-twm
とすると正常にできました。
ご指摘いただき、ありがとうございます。早速、修正いたしました。
削除入力メソッドの部分も、少し内容が古くなっているので、その箇所も直さなければと思っているのですが…(汗)Arch Linuxはアップデートが早いので、記事も定期的にアップデートしないとですね。
今後とも、よろしくお願いします。